Webサイト制作を外部に依頼する前に知っておきたい、保守コストと運用の考え方
Webサイト制作を外部の制作会社やフリーランスに依頼する場合、デザインや機能に目が向きがちだが、事前に意識しておかないと「作った後に想定外のコストや手間が発生する」ポイントがいくつかある。
依頼前にここを整理しておかないと、公開後に想定していなかった固定費や修正費用を払い続けることになる。以下は、依頼者側として最低限押さえておきたい判断軸だ。
サーバー保守は基本的に避けられない
WordPressでもNext.jsでも、どのような方式でWebサイトを作っても、サーバーを契約して運用する限りサーバー保守は避けられない。
外部からの攻撃で脆弱性を突かれ、個人情報が漏れたり、ウイルスを埋め込まれて拡散の踏み台にされるような事故を防ぐには、利用しているソフトウェアを定期的に更新し続ける必要があり、そのために保守作業が発生する。
問題は、その保守が安くないことだ。保守は人の作業で、時間がかかる。人が作業をすれば費用が発生し、相場感としては数万円単位になりやすい。企業にとっては誤差でも、小規模事業者や個人にとっては無視できない固定費になる。
そのため、Web制作を依頼する際には「保守費用がどの程度発生するのか」を最初から判断軸に含める必要がある。
保守コストを抑えたい場合の選択肢
保守コストを抑えたい場合、依頼者側が検討できる選択肢はいくつかある。その一つが、サイトを静的化する構成だ。
ここで言う静的化とは、Webサイト全体をビルド時にHTML、JavaScript、CSSといった静的ファイルとして出力し、それを配信する構成を指している。一般にはこのような構成を含む考え方を「Jamstack(ジャムスタック)」と呼ぶことが多いが、本記事では特に、CMSでコンテンツを更新した際に再ビルドを行い、その結果をサイトとして公開する、完全に静的ファイルとして配信する構成を前提としている。この構成ではサーバー側での動的な処理やデータベースアクセスが不要になり、保守の対象が大きく減る。自分自身、この保守コストや運用の問題を解決するために、完全に静的ファイルを出力して配信する構成を前提とした基盤として、200stack(https://www.200stack.com/)を作った。
動的構成を選ぶ場合に理解しておくべきこと
WordPressやNext.jsを一般的な構成で運用する場合、ユーザーがページを開くたびにサーバーが処理を行い、データベースから情報を取得し、最終的なページを組み立てる。これは柔軟だが、その分システムが複雑になる。
処理が複雑になるほど攻撃されるポイントは増え、設計や運用が不十分な場合には、データベースの改ざんやサイトの乗っ取りといったリスクが高まる。動的構成を選ぶ場合は、その前提として継続的な保守が必要になることを理解しておくべきだ。
静的化を選ぶ場合の注意点
静的化によって保守の手間は大きく減るが、万能ではない。利用しているサービスや仕組みが終了した場合には、サイト全体の見直しや作り直しが必要になることもある。
そのため、静的化は「保守をなくす方法」ではなく、「保守の形を変える方法」と捉える方が現実的だ。
SaaS型サービスを使うという判断
静的化が合わない場合や、更新を即時に反映したい場合には、Studio、WordPress.com、WixといったSaaS型サービスを使う選択肢もある。
これらのサービスは、更新や保守を個別ではなく全ユーザー向けに一括で行っている。そのため、利用者はサービス利用料を支払うだけで、裏側の保守やセキュリティ対応を意識せずにサイトを運用できる。
Jamstack構成ではCMS更新後の反映に数分待つ必要があるケースがあるが、SaaS型CMSでは即時反映できることが多く、運用のしやすさを重視する場合には有力な選択肢になる。
依頼時に意識すべき重要な視点
Webサイト制作を依頼する際に重要なのは、技術の名称や流行ではなく、運用の仕組みだ。
自分専用に対応してもらう作業が増えるほど、コストは上がる。個別対応が前提の運用設計ほど、保守費用や修正費用は積み上がりやすい。
依頼時には、どこまでをサイト制作会社に依頼する必要があり、どこからは自分たちで対応できるのかを必ず確認しておくべきだ。
制作前に必ず確認しておくべきこと
Webサイトは公開して終わりではなく、運用が続く。そのため、依頼前に以下の点を確認しておく必要がある。
住所変更や文言修正などの軽微な修正は誰が行うのか
自分たちで修正できるのか、制作会社への依頼が必要なのか
依頼する場合、1回あたりいくらかかるのか
これらを事前に確認していないと、簡単な修正だけで数万円の費用が発生することもある。
保守コストを抑え、その先にお金を使う
保守費用は、問題が起きないようにするための守りのコストであり、売上を直接増やすための支出ではない。
だからこそ、保守コストを抑えられる構成を選び、その分をアクセス分析や新しいページの検討、流入施策やコンバージョン改善といった成果につながる投資に回す方が合理的だ。
まとめ
Webサイト制作を外部に依頼する際には、次の点を事前に整理しておくべきだ。
サーバー保守はどの程度発生するのか
その保守は誰がどこまで対応するのか
静的化やSaaS型サービスで固定費を下げられないか
修正は自分でできるのか、依頼する場合の単価はいくらか
これらを把握した上で依頼することで、公開後に無駄な固定費を払い続けるリスクを大きく下げることができる。
サイト制作の相談について
ここまで書いてきたように、Webサイト制作では「どう作るか」よりも、「作った後に誰が何を負担するのか」を事前に整理しておくことが重要になる。
自分が運営している anytools という会社では、こうした運用や保守コストを前提にしたWebサイト制作を受け付けている。静的構成やSaaSの活用を含め、状況に応じて無理のない形を一緒に整理することもできるので、外部に制作を依頼することを検討している場合は相談してほしい。
サービス内容の詳細は以下を参照。 https://www.anytools.app/services/website