留守電に残された営業メッセージが嫌だった

今日、営業の電話がかかってきた。番号を見た時点で、以前にもかかってきた相手だったので、営業だろうという見当はついていた。ただ、留守電に入っていた内容が少し嫌だった。「1点確認と、1点伝えたいことがあります」。こういう言い方をされると、営業だと分かっていても、理屈とは別のところで動かされてしまう。確認と言われると、こちらが何かやってしまったのかもしれない、と一瞬だけ考えてしまう。もちろん、本当に重要な連絡なら、もう少し具体的に言うはずだとも思う。それでも、「念のため」が勝ってしまう。

かけ直した後に残ったもの

結局、かけ直した。電話口で出てきた話は、予想どおりだった。「状況の変化はありませんか」。要するに、いつもの営業の確認だった。留守電の「確認したいこと」という表現も、その意味の中にちゃんと収まっている。嘘をついているわけではない。ただ、その言葉の使い方が、こちらを少しだけ構えさせる。それが厄介だと感じた。

相手のやっていることは、こちらの不安をほんの少し刺激して、折り返しの確率を上げる、というものだと思う。設計としては合理的だ。でも、動かされた側には小さなストレスが残る。僕がむかついたのは、内容そのものより、その作り方だった。言い回しだけで相手を動かすやり方に、どうしても引っかかりが残った。

自分の会社では、こういうことをしないように気をつけている。売る側に立つと、言い方で結果が変わるのはよく分かる。でも、その結果のために相手に余計な負担を渡したくはない。とはいえ、こういう話自体は珍しくもない。

住宅営業で見た言い切り

最近は家を建てるのが大きなイベントなので、家を建てる時の経験の話ばかりになるけど、住宅営業の場面でも似たようなことを感じる。専門用語や仕様の話が多く、こちらが事前に調べていなければ、「そういうものです」と言われた時点で判断を相手に預けてしまいやすい。アルミ樹脂サッシがどうとか、断熱がどうとか、言い切られると正しい情報のように聞こえてしまう。

値引きの話も同じだ。「何月までに契約すれば安くできます」という言い方はよく見かける。本当は値下げの幅がある程度決まっていて、その中で見せ方を組み立てているだけ、ということも多いらしい。「上司に相談してここがギリです」「結構ギリまで下げました」という言葉も、その範囲の中で成立している。嘘ではないかもしれないが、受け手の頭の中では「今だけ」「特別」という印象が強くなる。

不安を見せない人の会話

こういう場面で出てくる営業マンは、不安を見せず、迷いも見せず、全部を知っている顔で言い切ることが多い気がする。その断定が効くのは、相手が迷っている時だと思う。でも、仕事の現場で普通に話していると、本当に断定できる場面はそんなに多くない。確からしいところと、まだ揺れているところを分けて話してくれる人の方が、僕にとっては信頼しやすい。

「ここまではかなり確からしいけど、ここは別の可能性もあります」「今の情報だとこう見えるけど、条件が変わると違ってきます」。そういう言い方をされると、判断がこちらに戻ってくる感じがする。売る側が主導権を握るのではなく、一緒に整理しているように見える。そのほうが、購入する相手としても安心できる。

心理の癖を知っておく

今回の留守電で引っかかったのは、僕自身の反応の癖でもあると思う。「確認」という言葉に反応してしまうこと、小さな不安を無視しきれずに動いてしまうこと。心理的な動きを扱った本を読んでいると、営業の会話が少しだけ読みやすくなることがある。『システム1・システム2』の話を解説する本や、『予想どおりに不合理』のような本を通して、これはどういう反応を狙っているのか、と後から整理できる。

それで全部防げるわけではない。ただ、嫌だった、で終わらせずに、何が引っかかったのかを言葉にしておくと、自分が同じことをどこかでやってしまう可能性にも気づける。今日の留守電は、そのことをもう一度考えさせる出来事だった。